For Your Heart

By ISSING-BLOG

スピッツ「夕焼け」

 私がスピッツというアーティストの存在を知ったのは、親がレンタルで借りてきたものを車で流していたことがきっかけです。シンプルな曲調で懐かしい感じがするがどこか新しいな、と。そんな風に聴き入っていました。

 

 スピッツの曲はとてもシンプルですが、伝えたいことがストレートに表現されているかと言うとそうでもありません。スピッツの歌詞は理屈では理解できないほど難解な曲もあります。しかし、メロディと共にその歌詞が流れてくるとなぜか耳に残ります。そんな“魔法のコトバ”のような歌詞とメロディを使うところがスピッツの特徴の一つだと思いますね。

 

 私が初めてスピッツのアルバムを手に取ったのは1999年発売のベストアルバム『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』です。発売当時のスピッツはベストアルバムをあまり出したくなかったとは言え、このアルバムにはスピッツ自身のヒットソングがだいたい入っており、スピッツの世界を知るきっかけとしては最適だと思います。

 

 スピッツは私が高校時代から大学時代に組んでいたバンドでよく歌いました。特に「空も飛べるはず」や「ロビンソン」は何回も歌いました。スピッツのような繊細な声を出すのも一苦労ですが、声のキーの高さに驚かされました。

 

 バンドで歌い出してからスピッツの魅力に惹かれ地元の図書館で借りたり、中古販売店で購入したりと、一時期スピッツのアルバムを集めようと躍起になっていた時代もあります。

 

 そこで私は2007年に発売されたスピッツの33枚目のシングル『群青』を見つけ出しました。

 

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 そこにもスピッツサウンドは健在でしたが、そのB面に収録されている「夕焼け」という曲が私の耳に留まりました。

 

    

 

「言葉でハッキリ言えない感じ 具体的に」

 

「『好き』では表現しきれない 溢れるほど」

 

 遠くの方に夕焼けが見えるような感じがしました。だからと言ってこの曲は夕焼けそのものを直接表現するのではなく、夕焼けの情景と恋がある程度熟した、言わば“青春の黄昏”を表現しています。

 

 好きな人がいるという気持ちは「好き」という言葉以上の気持ちを持っているということです。その心の叫びがサビで歌われています。

 

「君のそばにいたい このままずっと」

 

「願うのはそれだけ むずかしいかな」

 

 そばにいること、それは好きな人と人生を共にしたいという表れなのかもしれません。しかし、その願いの難しさを誰もが思い知らされます。「むずかしいかな」はその不安と希望の入り混じりが感じられます。

 

「終わりは決めてない 汚れてもいい」

 

「包みこまれていく 悲しい程にキレイな夕焼け」

 

 その人との恋を成就させたいと気持ちがあってもその恋がある程度熟した頃、気づかないうちに焦がれ悲しみとなって溢れ出す。そこに夕焼けのような暖かな光がその気持ちに差し込む。まるでそれは想いを強調するかのように照らし出す。そして夕焼け色に染まり、その想いは膨大なエネルギーと共に燃え続けるのです。

 

 私はこの曲をよくカラオケで歌います。その度に「これ、なんていう曲?」と興味を示す人がいます。良い曲だね、と。この曲は誰が経験したことがある青春と、体験したことのある情景を上手く重ね合わせて表現した曲かもしれません。