たとえば

心の赴くままに描くエッセイブログ。

鈍行列車旅行記

 学生時代、僕は関西から静岡へ帰省する時はいつも鈍行列車(在来線)で約5時間掛けて帰省していた。18切符シーズンになると片道3,500円で帰省でき、普通乗車券でも6,000円ちょっとで帰省できる(学割だと5,000円)。なんと新幹線の半額ほど(特急料金含めると10,000円ちょっと掛かる)になるのだ。学生時代は長期休みの度に帰省していたので、新幹線代を払う余裕などない、というのは建前で、本音を言うと鈍行列車で帰省するのが好きだったのだ。

 

 過去の記事でも鈍行列車で帰省したことを載せたことがある。

 

issing.hatenablog.jp

 

 ちなみに、僕は電車オタクと呼ばれるほど電車に関して詳しくない。ただの旅好きである。


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 乗車する路線はもちろん東海道本線なのだが、国鉄民営化以降、地域によって管轄している会社が違う。東海道線でいうと、神戸駅米原駅までがJR西日本米原駅熱海駅までがJR東海熱海駅〜東京駅までがJR東日本である。そのため、管轄境界駅では乗り換えが必ず発生する。


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 ちなみに、JR西日本では、姫路駅〜神戸駅山陽本線及び神戸駅大阪駅東海道線を「JR神戸線」、大阪駅〜京都駅の東海道線を「JR京都線」、京都駅〜米原線の東海道線及び米原駅長浜駅北陸本線を「琵琶湖線」という愛称が付けられており、各駅では愛称名で案内されている。そのため、関西では「東海道本線」という表記がないため、どれに乗ったら良いのかわからなくなるケースが時々あった。


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 まず、大阪駅からJR京都線東海道線)に乗車する。米原行きの新快速に乗る。特急並みの速度である130kmで走行し、京阪間を約30分で結ぶ。競合路線である阪急京都線京阪本線に対抗している。速度が早いため、列車はガタガタと揺れる。新幹線なんかいらねーじゃん、と思ってしまうほど、あっという間に滋賀県米原駅に到着。


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 ここからJR東海の管轄に入る。なお、米原駅JR西日本の管轄駅だが、岐阜・名古屋方面の案内板は「東海道本線」と表記されている。そして、大垣行き普通列車に乗り換える。米原〜大垣間は、山岳部で関西と関東の境界線とも言われる関ヶ原を通る。関ヶ原でうどんのダシの味が関西風と関東風で入り混じっていることは有名である。山岳部でガタガタと電車が揺れたまま、ゆっくりと岐阜県大垣駅に到着。

 

 ここから岐阜・名古屋都市圏に突入し、乗る列車も豊橋行き新快速に乗り換える(特別快速もある)。運が良ければ、静岡県の浜松行きの新快速に乗ることができる。JR東海の新快速の速度は120kmのため、そんなに揺れない。名古屋駅で途中下車して観光によく行ったものだ。名古屋駅周辺はビルが立ちはだかるが、ちょっと郊外に行くと広大な平野部がひたすら続く。豊橋駅の近くになると、だんだんお尻が痛くなるが、それをなんとか堪えて愛知県の豊橋駅に到着。

 

 ちなみに、豊橋駅で買える駅弁「うなぎ飯」は美味い。

 
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 ここから静岡地区に突入し、浜松行きの普通列車(各駅停車)に乗り換える。この地区からロングシート普通列車のみになる。そのため、18キッパーの間では不評な地区である。しかし、10分に1本の都市型ダイヤの各駅停車のみが設定されているため、地元の静岡県民にとってはわかりやすい。また、駅と駅の間の距離が長いため、各駅停車でも速度が遅いわけではない。それに、静岡県民は長距離利用する人はあまりいないため、乗り降りしやすいロングシート普通列車のみが走行している。浜名湖の綺麗な景色を見て、いつかここでまた潮干狩りをしたいな、と思いながらあっと言う間に浜松駅に到着。

 

 過去になぜ静岡地区の東海道本線は各駅停車しかないのか考察したことがある。


issing.hatenablog.jp

 

 ちなみに、静岡県民は電車のことを「汽車」と呼ぶ(人もいる)。

 
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 やっとゴールの静岡駅に近づく。静岡行き、もしくは沼津行き、もしくは熱海行きの普通列車に乗り換える。あとはひたすら静岡駅まで乗り通すのみ。ただ時間帯によってはエコパスタジアムのイベントに行く客がぞろぞろと乗ってくる場合がある。学生時代、帰省した日がたまたま「ももいろクローバーZ」のコンサートと重なり、電車の中は混雑するどころか、静岡地区では珍しく混雑による遅延が発生したほどである。エコパスタジアムの最寄り駅は袋井市愛野駅であり、浜松駅から約25分である。袋井市を過ぎると掛川市島田市と山岳部を通る。お茶畑が目立つ。そして島田駅から平野部になり、長い長い石部トンネルを通り、静岡駅に到着。

 

 新幹線と違って、鈍行列車は風景の移り変わりをゆっくり堪能できる。18切符なら途中下車して、ちょっと駅チカの温泉で休憩、なんてこともできる。鈍行列車を長距離で乗るというのは「旅」なのである。

 

 普段は新幹線で超高速で通り過ぎる地域をゆっくり堪能することにより、地理にちょっと強くなったり、気になる地域があったらあとで調べてみて改めて訪れたいと思うことがある。

 

 つまり、急ぐことばかりが良いことじゃないのだ。実は急ぎ過ぎているあまり見落としている面白いものがあるのかもしれないって、なんだかこれは人生についても言えることかもしれないな、と長距離の鈍行列車の中、学生時代の僕はゆっくりと移り変わる風景を見て実感した。